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紙の歴史―文明の礎の二千年 (「知の再発見」双書)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 203577 位
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ヨーロッパの紙の文化史
紙が発明された中国や、和紙が出来た日本なども十分言及されていますが、基本的にはヨーロッパにおける紙を辿った本。
まず第1章「アジアの紙」では、中国で紙が発明されてから、1000年以上(!)かかって西欧に到達する様子を紹介。
初期の紙の製法も詳しく書かれており、また、文字を書いたり印刷したりするだけではなく、
トイレットペーパーや障子、おみくじに至るまでいろいろと紙を活用したアジアの姿が浮き彫りになる。
第2章「紙の道」では、シルクロードならぬ紙の道を通じて、中国から中東へ、そして西欧へと、
ゆっくりゆっくり紙が伝播していった様子を紹介。まずイスラム世界に紙が定着したのである。
第3章は西欧の製紙所について。ボロの亜麻布を原料にしたフランス、イタリアなどの製紙所での詳しい工程、
原料調達の苦労(古い布を回収するので)、思想などの伝達に果たした役割、印刷術の発明との密接な関係が述べられる。
第4章では、工業・化学の発達に伴う機械化の様子と、ボロ布にかわる原料としての木材パルプの登場、化学処理の登場などを紹介。
第5章では現代の紙の様子を外観し、木材パルプの消費・工場の排水などに伴う環境/資源問題も論じる。ここで筆者は、
製紙産業が意外と森林を破壊していないこと、工場の排煙は大部分水蒸気であること、有害物質を取り除いていることを述べ、
製紙産業を擁護する立場をとっている。また、これから時代の紙の可能性を示唆している。
巻末には、紙にまつわることが書かれた文学や書簡などを抜粋して掲載。
巻末以外、カラー写真が非常に豊富で、紙が長い歴史の中で世界で果たしてきた役割をわかりやすく概観することができる。
紙技術の伝播を追って
紙は、日本の教科書に載っている蔡倫より早く紀元前2世紀には、中国で使われた証拠があるそうです。本書はその紙技術の伝播経路を地球全体をめぐって忠実に追い、まさにグローバルな紙の世界文化史になっています。時代的にも古代から現代まで通観しており、紙製造技術の発達通史になっています。さらに紙技術を受けいれた国が、移入技術の改善に留まらずに、そこから印刷、出版、紙製品開発など紙利用の新規開発を積極的に行い、それに伴う文化の興隆、社会情勢との相互影響などの史的事実などにも触れられています。
著者はフランス人ですが、わが国の古い和紙や折り紙の事についても正確に述べられており、感心しました。図版や写真が豊富です。また掲載された図の説明も丁寧にされており、本文の理解に役立ちます。巻末にフランスの教養人が書いた紙に関するエッセイの抜粋が集められています。エスプリがきいた文が多くて、洒落ています。
現代の製紙業界では、巨額な資金でしか作れないコンピューター制御の大規模設備が必要なのだそうです。しかし製品の利潤は低く、利益確保の為にこの業界では企業の合併巨大化が必須のようです。北欧では国を越えた合併さえも行われたそうです。先日の日本での買収騒ぎも、突出した動きのように見えましたが、この世界から見ると、理に適った企業行動だということが判りました。日本の新聞の論調では判らなかった事情が明らかになり読んで良かったと思いました。
創元社
本の歴史 (「知の再発見」双書) 和紙の歴史―製法と原材料の変遷 中世ヨーロッパの書物―修道院出版の九〇〇年 紙と羊皮紙・写本の社会史 紙のなんでも小事典 (ブルーバックス)
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